Ⅱ-Ⅴ-Ⅰのコードフォームを使ったエクササイズ

この記事では、Ⅱ-Ⅴ-Ⅰのコード進行をベースで弾きながら行うエクササイズを紹介します。
コードフォームというベースプレイではあまり使わない運指を練習することで、
いつもとは違う指の練習と頭の体操を行う!
これがこのエクササイズの狙いです。

Ⅱ-Ⅴ-Ⅰが分からないという方でもTAB譜を見ながら出来るように解説しています。
難しく考えずに是非やってみて下さい。


同じテーマの動画をYoutubeチャンネルでも紹介しています。
実施の演奏を動画でも確認出来ますので、是非こちらもご覧になって下さい。

目次

はじめに

この記事では4つのポジションで出来るエクササイズを紹介します。
さらに、それらを実際に行う際の効果的な方法を、STEP1~STEP4という形で4つのステップに分けて解説しています。
Ⅱ-Ⅴ-Ⅰの理論を理解している方でしたら、是非STEP4まで読んでください!
それ以外の方でも、TAB譜を参考にSTEP1を行ってもらうだけで運指練習として十分に効果が期待できます。
また、「ちょっとベースだけで何か弾いてよ?」っていう無茶ぶりに応えるネタにもなります。
ぜひ楽しみながら読み進めて下さい!!

エクササイズの紹介

1:奇数フレット3弦ルートスタート

早速ですが、この譜面を見てください。
これをベースで弾いていきます!

TAB譜/PDF

まずは1小節目のパターンを弾けるようになって下さい。
ピッキングの方法は何でも構いません。3つの音を同時に鳴らすも良し、一つづつ低い音から順番に鳴らしても良いです。
出来るようになれば、2小節目を見てみましょう。これは1小節目のパターンを単純に2フレット下がっただけです。
小節の変わり目は少し慣れが必要ですが、1~2小節目を繋げて弾いてみます。
これが出来れば譜面に従って2フレットづつ下がっていきます。ここでは4小節で終わっていますが、そのままずっと下がれるところまで下がります。
ここでは、スタートを3弦17フレットとしてますが、お使いのベースによっては3弦23フレットから出来るかと思います。
それぞれの環境に合わせて行ってください。

Youtube動画での実演を参考にして貰えれば分かりやすいと思います。

Youtube動画

これが、この記事で紹介するエクササイズの基本となります!

ここで弾いた音が、コードのどの構成音を弾いているのか?といった事も大事ですが、
その解説は、後に回します。

まずはこれを弾くことで、ベースでコードを弾くという感覚に慣れて下さい。
そうすることで、普段あまり使わない運指の練習になりますし、
音楽的にも意味のある練習になっています。
ここでは詳しく解説しませんが、音楽理論に精通している方なら、これが、
「メジャーキーのⅡ-Ⅴ-Ⅰを全音づつ下がりながら弾いている」のに気付くと思います。
この後のSTEP別の練習方法の紹介の中でⅡ-Ⅴ-Ⅰに触れますが、今はこのパターンが弾けるようになる事だけを考えてもらえれば大丈夫です。

では、このまま次のポジションを紹介したいのですが、少しだけ寄り道をして、
今回のエクササイズを行う上で知っておいたほうが良い知識、
「ローインターバルリミット」について少し触れることにします。
名前だけ見ると難しそうですが、簡単に説明する事が出来ます。

「ローインターバルリミット」

「ローインターバルリミット」、直訳すると「低い音程の限界」といった感じでしょうか?
何の限界か?というと、音が綺麗に響く限界の事です。
ここで、先程紹介したエクササイズを振り返って下さい。
1小節目で綺麗に響いていたコードが、フレットを下がる。つまり音を低くしていくにつれて濁って響いていった筈です。
これが綺麗に響く音の高さ(低さ)の限界を指すのが、「ローインターバルリミット」です。

ただし今回はベースで3つの和音を鳴らしていますが、このローインターバルリミット、本来は任意の二つの音程間で考えられます。ドとミの音程(長3度や短3度という言い方をします。)とドとソの音程(完全5度と言います)ではそのリミット値は変わってきますし、楽器が変わればまたその値も変わります。

一応、音程ごとまた楽器ごとにその値は設定されているようですが、結局音が濁っているかどうか?というのは人それぞれの感じ方で変わってきます。またメタルといったジャンルの音楽では、あえてローインターバルリミットの下で不協和音を演出する事も有ります。

そういった意味では絶対的な知識として覚える必要は無いですが、低音を担当する我々ベーシストとしては感覚としてこれを理解しておく事は大事です。

今回紹介するエクササイズは高い音から低い音に向かって弾くので、どこかのポイントでこのローインターバルリミットを越えてプレイする事になります。
その時に、「運指練習として弾くのはOKだけど実際の演奏ではここは弾けないな。」といった事を感じながら練習を行って下さい。
生音とアンプを通した音ではその感じ方も変わってきますので、そういった事も是非感じ取って下さい。

では、寄り道はこれくらいにして次へ進みたいと思います!

2:偶数フレット3弦ルートスタート

こちらもまず譜面を見てください。

TAB譜/PDF

先ほどのエクササイズと何が違うのか?
そうです、1フレット下になっただけです。
指の運び方はさっきと全く一緒なので、すぐ出来ると思いますが、こちらも並行して行ってください。
この二つを行う事で3弦ルートスタートのこの形を、全てのフレットで出来た事になります。

では、次のポジションを紹介していきます。
次はスタートのコードも指の形も変わってきます。

3:奇数フレット4弦ルートスタート

今回も見て貰ったほうが早いので、さっそく譜面を用意します。

TAB譜/PDF

これまでに紹介したポジションとは少し違う指の形になります。
これも同様に1小節目でしっかりと指の形を覚えたら、2フレットづつ下降していってください。

注目すべきは、この1小節目のコード進行は、一つ前に紹介した「偶数フレット3弦ルートスタート」の時の3小節目のコード進行と同じですが、フレットの押さえ方が違うという事です。五線譜のオタマジャクシを見ると音の積み上げ方が違うのも分かります。

TAB譜/PDF

1小節目が4弦ルートスタートで、2小節目が3弦ルートスタートです。
このように同じコードネームでも、違う指の形で弾ける事が分かります。
ここではこの事だけ覚えてもらえれば大丈夫です。
では、最後のポジションを紹介します。

4:偶数フレット4弦ルートスタート

最後のポジションはこれになります。

TAB譜/PDF

これも「3:奇数フレット4弦ルートスタート」を1フレット下げただけですが、
並行して行ってください。


これで4つのポジションでのエクササイズを全て紹介しました。

  1. 奇数フレット3弦ルートスタート
  2. 偶数フレット3弦ルートスタート
  3. 奇数フレット4弦ルートスタート
  4. 偶数フレット4弦ルートスタート

大きく分けると、3弦ルートスタート4弦ルートスタートの二つの指の形になりますが、
スタートのフレットを奇数と偶数に分けたこの4つを、自分のやりやすいピッキングで練習してください。

ではこれから、このフォームを使って練習をする際にどういった事を意識するとより効果的なのかを、4つのSTEPに分けて紹介します。
ご自身のペースとニーズに合わせて参考にしてください!

効果的な練習方法4つのSTEP

STEP1.ピッキングにバリエーションをつける

これまで、フレットを抑える事を中心に話をしましたが、ここでピッキングについて触れていきます。
右利きとして話をしますので、ご了承下さい。
紹介したフォームを、考えずに弾けるくらいに体で覚えることが出来たら、右手の弾き方にバリエーションをつけてみます。

1・音を分けて弾く

まずは、もうすでにやっているかと思いますが、一音ずつ分けて弾きます。
これは、コードをアルペジオ(分散和音)で弾くという言い方も出来ます。

TAB譜/PDF

右手は2フィンガーの弾き方でも良いですが、その場合は弾き終わった音をミュートしないように注意が必要です。
ピック弾きなら、ダウン・オルタネイト両方でやると良いかと思います。

ここで一つ紹介したいのが、親指、人差し指、中指の順番で弾く方法です。


クラッシックギターを爪弾くようなイメージです。
実際の演奏でこの弾き方はしないという方でも、ここは練習と割り切ってやってみて下さい。この次に紹介する方法で必要になります。
Youtubeの動画を参考にして貰うと分かりやすいかと思います。

Youtube動画

では、次を紹介します。

2・音を同時に弾く


3音同時に弾いていきます。ここでは一つのコードを4回弾いて次に行くパターンを紹介します。

TAB譜/PDF

この弾き方は色々と考えられますが、先程の親指、人差し指、中指の順番で弾く指使いが一番簡単かと思います。
これを使って3音同時に弾きます。
ここで大事なのはコードの変わり目です。実際にやってみると分かりますが、これまでは左手のコードチェンジに時間的な余裕が有ったのに対して、これだと瞬時のコードチェンジが必要となり、右手よりも左手が難しいです。
これをゆっくりとしたテンポから始めて、慣れたらメトロノームに合わせてテンポを上げていってください。

3・弾き方を混ぜる

最後に、「音を分けて弾く」のと「音を同時に弾く」のを混ぜて弾くというのを紹介します。
紹介するといっても、これまでの弾き方を自由に組み合わせてやって下さい。という事に尽きます。
ボサノバのようなパターンを作って繰り返しても良いですし、何も決めずに自由に弾くというのも良いと思います。
Youtubeの動画でも少し紹介していますので、そちらも参考にしてください。

これでSTEP1の紹介は終わりになります。
Ⅱ-Ⅴ-Ⅰといった音楽理論を知らなくても、TAB譜を参考に進めて貰えれば、
主に左手の指を鍛える事が出来て、コードフォームを実際に弾いて覚えるのに適したエクササイズになっています。

これから紹介するSTEPは音楽理論を学んだ方を対象にしていますが、そうでない方でも良ければ一度読んでみて下さい。
今回紹介したエクササイズが、コードのどの音を使っていたか?などの解説をしていますので、何かの参考になるかと思います!
それでは、次のSTEPを紹介していきます。

僕は、音楽理論を知らなくても素晴らしいプレイをするミュージシャン、アーティストを沢山知っています。
なので、「ベースを弾くのに音楽理論の勉強が必要か?」と問われると、必ずしもそうでは無いと答えます。
むしろ、音楽理論を知らないからこそ、自由な発想でより感覚的なプレイが生まれるケースが有るとも思います。
ですが、音楽理論を勉強した自身の経験から言うと、学ぶ事にメリットが有るのも事実です。

音楽理論は、音楽の教科書でもなければマニュアルでもないです。
過去の偉大な作曲家が生み出した、「素晴らしい音楽」、「カッコイイ音楽」が、なぜ素晴らしく、カッコイイと感じるのか?を音律の面から分析して体系化したものが音楽理論だと僕は認識しています。
そういった意味では音楽理論に根付いているものは人間の感覚であり、万人が持つ音楽的感覚から「いいとこどり」した最大公約数とも言えます。

そんな音楽理論を「教科書」としてではなく良い音楽を生むための「便利ツール」と思って学んでみるのも良いのではないでしょうか?
勿論、音楽理論は奥が深いですが、基本的には学びを積み重ねて展開していくものなので、自分に必要と感じる所まで学んで、自身の成長や必要性に応じて学び進めていくというも良いかと思います。

そういった方の助けになるように、「ベーシストの為の音楽理論」というシリーズ企画を考えています。
現在、執筆中ですので、お待ちください。

STEP2.コードネームを意識する

ここからは、Ⅱ-Ⅴ-Ⅰの音楽理論を理解している方を対象に話を進めていきます。

これまでは、TAB譜を参考にコードを形だけで見てきましたが、ここでコードネームを意識して弾くという考えを追加したいと思います。
この記事で一番初めに紹介した、「奇数フレット3弦ルートスタート」の譜面をもう一度用意しました。
全く同じものです。

TAB譜/PDF

これを弾くときに、そのコードネームを意識する。つまり頭の中で唱えるというのを行っていきます。
この練習方法では、Ⅱ-Ⅴ-Ⅰの形が変わっていく度に、キーが全音下がっていきます。
ですので、コードネームを唱える時に今自分がどのキーを弾いてるのか?を意識するとより効果的です。
1小節目だと、「Dm7、G7、CMaj7」と唱えながら、Cメジャーのキーというのも同時に意識します。
これでやっていくと、5小節目がひとつのポイントになります。
4小節目3拍目のG♭Maj7はこのキーのトニックですが、
5小節目1拍目はEメジャーのキーのⅡm7となるので、呼び方がF#m7となります。
同じ3弦9フレットをルートにするコードですが、ここでルートの音名が変わります。
(4小節目のキーをF#と考えれば別ですが、その場合3と4小節目で似た事が起きます。)

ここで「奇数フレットスタート」と「偶数フレットスタート」を両方やる意味が大きくなります。
唱えるべきコードの数が増えるからです。
4弦スタートも同じようにやってみて下さい!
ずっと続けていくと、ベースの指板の見え方がより音楽的になってきます。
この次のSTEP3の後も、ここに戻って交互にやるとより効果的だと思います。

STEP3.音名を意識する

タイトルの通りです。
先程はコードネームを意識しましたが、ここでは弾く音の音名を意識する。つまり唱えていきます。
また同じ譜面を用意しました。

TAB譜/PDF

例えば2小節目を弾く時に、「C、E♭、B♭」、「F、E♭、A」、「B♭、D、A」という実音を唱えます。
ちなみに僕は、「ド、ミ♭、シ♭」」、「ファ、ミ♭、ラ」、「シ♭、レ、ラ」という風に唱えます。
3音同時に鳴らしながらは難しいので、アルペジオでやることになります。
これを偶数フレットスタートや、4弦ルートスタートでもやって下さい。

ここで、ここでこれまで弾いてきたコードがどういう音の積み重ねになっていたのかを解説します。

今回紹介したコードフォームは全て、4和音の中の5度の音を省略して、
「ルートの上に3度と7度」か、
「ルートの上に7度と3度」かどちらかの法則で音を重ねています。
今回登場したコードは、
「メジャー7」、「セブンス」、「マイナー7」の3つなので、
「1・△3・△7」「1・△3・m7」「1・m3・m7」か、
「1・△7・△3」「1・m7・△3」「1・m7・m3」
のどちらかになります。

これも意識して音名を唱えていく事で、指板の音を覚えながら、各コードの3度と7度の構成音を覚える助けにもなります。

はじめはゆっくりとしたテンポからやってみて、慣れてきたらメトロノームにも合わせて下さい。
メトロノームは容赦なく次の拍に行くので、、、頭をそれに合わせていくのは慣れるまで難しいかと思います。
続けていけば出来るテンポも必ず上がっていきますので、根気よくやってみて下さい。

STEP4.指板を昇って弾く

これまで紹介した練習は全て高い音から、低い音へ弾く。つまり指板を降りていく動きでした。
これだと、一つのターンを弾いたら一度一息ついて次のターンへ行くことになります。
もちろん、これだけでも練習としての効果は充分に期待できますが、
「指板を昇るパターンを追加して無限ループで練習したい!」
という欲張りな方もいると思います(笑)。
果たしてそんなことが可能なのか?

可能です!!

Ⅱ-Ⅴ-Ⅰを昇って弾くことでそれが出来ます!
ただし僕自身があまりやらない練習なので、、、解説に不充分な点があるかと思います。
ここでの考え方を基に皆さんでアレンジして完成させてください。

では、Ⅱ-Ⅴ-Ⅰを昇って弾くとは?
一例を譜面にしました。

TAB/PDF

3弦奇数フレットのルートで始めると、この譜面の1小節目まで来ます。(ローインターバルリミットは無視してます。)
次の2小節目のⅡ-Ⅴ-Ⅰを弾く時にF7で指板を昇ります。また少し下降が続きますが、
3小節目のA♭Maj7でまたグイっとポジションを昇ります。
この感じで、どこかにポジションを昇るポイントを設けることで、この例だと最後は3弦の19フレットルートまで戻ってきます。
そうすれば、また下降パターンを弾く事が出来ます。


これで無限ループの完成です!


今回はにポイントを設けましたが、のどこかに設定することも可能です。
ここで紹介したのは一例にすぎません。この考え方を参考に自分なりの練習方法を生み出してください!

最後に

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

今回紹介させて貰ったエクササイズは、僕自身が効果を実感している有用なエクササイズのひとつです。
運指練習としても優れていますし、
コードネームと音名をリンクさせて指板を見えるようになる。
という脳トレ的な面も持ち合わせています。
また、ベース1本でソロプレイをする時の基礎体力を作ることにもなります。
僕もそういったプレイをする事がありますが、ここでのエクササイズが助けになっています。
良ければ見てみて下さい。
Youtube
それでは、今回の記事はこれで終わりとなります。
最後まで読んで頂いてありがとうございました!

これからも、皆さんのお役に立てる情報を発信してシェアしていきたいと思います。
では、皆さん一緒に良いベースライフを過ごしましょう!!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次
閉じる